ほとんどのヘルメットの場合、イヤーパッド付近にスピーカーを取り付け、配線をまわすのも問題ないが、イヤーパッドがプラスチック部分に接着してある場合、イヤーパッド部分を少し加工してスピーカーを取り付ける必要が出てくるかも知れない。VR2KBCの場合、スピーカーの上に小さなパッドフォームを取り付ける必要があったが、SENA SMH10は十分なボリュームがあるため、音声の質に関して困ることはなかった。他にも人によって状況が様々だが、要するに、スピーカー部分を耳の付近に配置し、付属してある両面テープまたはベルクロで取り付けるという作業である。
もう一つのスピーカーも取り付ければ、準備完了。しかしまだケーブル部分はまとめず、まずはテストライドに行くことが賢明だ。
マイクロフォンのアーム部分は比較的小型だと言える。スノーモービルを運転中の激しい衝撃でもマイクの位置が変わってしまうということはなかった。
仮にマイクの位置がかわってしまうことが気になるのであれば、ヘルメット内のチンガード部分に小さなベルクロを取り付け、それにマイクを貼付ければマイクは動かない。
もし以前に他のBluetoothヘッドセットを試したことがあれば、このSENA SMH10の設定および使い勝手がどれほど簡単でシンプルかが実感できるはずである。他のBluetooth製品の仕様上、1つの機器に対して1つの機器との通信が定石であったが、SENAはその一歩先を進み、ひとつのボタンを押すだけでシームレスに次から次の機能、機器へと移っていくことができる。
Garmin zumo GPSとSena SMH10とのペアリングもとてもシンプル操作で可能である。Phoneボタン(うしろについている小さなボタン)を約5秒間押し、赤と青のLEDが点灯するまで待つ。それからGarmin Zumoの新規デバイス検索を開始する。数秒でお互いを検索するはずだ。Zumo側のディスプレイにSMH10と表示され、SMH10側はペアリング完了のビープ音を発する。ZumoとSMH10接続でのメディアプレーヤーサウンドは、この手の機器では最高のステレオサウンドだと言える。
携帯電話に関して、すべての携帯電話機器に対応しているかと聞かれると、答えるのは難しい。今までのところBlackberryおよびMotorolaの携帯電話とのペアリングは何の問題もなく行えた。Zumo経由での通話も問題なかった。ハンズフリーボイスダイヤル機能は最高だ。
MP3プレーヤーに関して:Zune playerで最高の音質を確認した。スノーモービル、SXS ATV(ダートバギー)運転中にも良く聞こえた。ペアリングが簡単だ。
マルチインターコム接続
SENA SMH10には最大4人とお互い通話できる機能がある。複数のペアリングを行い、スイッチング形式で1:1の通話をする。マルチインターコム設定はとてもシンプルだ。マニュアルの設定図を見ながら手順通りにすれば良い。一つだけ覚えておいた方が良いのがLast In First Out(LIFO)ルールだ。最後にペアリングした相手が、タップして一番最初に会話する人になる。2ユーザー間での通信距離は仕様のままなので、4人が互いに距離をとれば、先頭から最高尾までかなりの距離でコミュニケーションをとることができる。これで、大勢のツーリングではぐれたり、トイレ休憩に行き損ねたりすることがなくなるだろう。
いままで試してみて、とても良く機能していると言える。とくにATVおよびスノーモービルを走行中に絶えず通信が必要なときに重宝した。面白かったのが、スノーモービルを仲間と走行中、インターコムに「うわー」という声が聞こえたので振り返ると、丁度仲間が転んでスノーモービルがひっくり返り、友達が雪の上でじたばたして「スノーエンジェル」を描いていた様を目撃できたことだ。
バイク間のインターコム通信距離
ノースダコタの平原およびミネソタの森林地帯を走行してみて約1000mは通信可能だった。通信も安定しているようだ。霧や雪も通信距離に影響を及ぼさなかった。通信距離に関して短いと感じたのは、木々が密な森林の曲がりくねった谷をスノーモービルで走行していた時であったが、そのような地形の時は、どっちにしろお互い近づいて走るので特に問題と思わなかった。ちなみに他機器を同じ環境内でつかった時は、通信自体が切断されてしまった。
通信距離はほとんどの状況において十分であった。4人グループで、直線の高速道路、または一本道を走行中、お互い飛ばした結果距離があき、先頭と最後尾の通信が途切れても、通信距離範囲内に戻ってくると、自然にペアリングが復帰した。距離範囲外になるにつれ、相手の声が丁度、携帯電話の通話中に圏外に入ったときのような音質になる。完全にBluetooth接続が切れると、SMH10は接続試行を毎8秒ごとに繰りかえす(4台接続中の場合、そのうちの1台でも切れると、探しにいく)。その間接続試行ごとにビープ音を2度ならし、範囲内に入るとすぐに接続が自動的に行われる。キャンセルする場合は一度だけジョグダイヤルを押せばよい。
スピーカー 音量および音質
スピーカー音量および音質に関しては新たなスタンダードを築いたと言える。
スノーモービルを走行しながら(最もうるさく、アンビエントなノイズを発する乗り物)問題なく聞くことができ、高速で走行中も問題なかった。いままでの同等機器の場合約80km/hで全く使い物にならなかった。
スピーカーは他機器の中でも最も大きく重い作りになっており、それが違いを生み出すのかもしれない。ボリュームはジョグダイヤルを回して調整。
もちろん高スペックのヘルメットであれば、音質に大きな違いを生み出すだろう。いずれにせよ、この製品のスピーカーは、ちっちゃく、ちゃちな作りをしているものではなく、しっかりとすばらしい音を再生するようにデザインされているのだ。もちろん密閉式のイヤフォンにはかなわないが、それはまた別の土俵での話である。
オーディオはクリアであり、自動ボリューム調整機能は、外部のノイズに応じて同じ音質レベルと保つ上で、良い働きをしている。特にアクセルを吹かす度に吠えるタイプのバイクや、ウインドシールドがないバイクにおいて、この機能は買いである。風切音が時に邪魔になる時があるが、それでも携帯電話の通話において、聞こえないということはなかった。ボリューム調整は簡単で、ただジョグダイヤルをひねるだけだが、この製品のボリューム幅は広く、最大にすると耳が割れそうなほど大きくなるので注意が必要。
起動時間/充電時間
1回の充電につきインターコムを起動したままで、8時間以上の使用が可能だ。携帯や音楽その他の機能をフルに使用しても6時間以上の使用が可能だった。スタンバイモードにすれば10日間という仕様だが、それはまだ試していない。充電が必要になってくると、小さな音声アラームで、充電必要のお知らせを鳴らす。
家の電源、またはシガレットライターでの充電では1時間ちょっとで、PCのUSBからだと2,3時間の充電でフルになる。
充電用のアダプターは口が様々な口に取り替えることができ、様々な国で使用可能だ(米国/カナダ/日本/オーストラリア/英国/ヨーロッパ/韓国など)。12Vのシガレットライターからの充電アダプターを使えば、走行中にも充電が可能になる。
その他の点
- 同梱品である両面テープは、ヘルメットの塗装面であれば、しっかりと取り付けることが可能だ。Nolan 3/4の黒いポリリング部分に接着しようと試してみたが、うまくつかなかった。KBCヘルメットの同じ部分にとりつけた時はしっかりと接着した。
- FMラジオはついていない。
- 内蔵型マイクの要望がでているようで、未だそのオプションはないが、将来リリース予定である。
結論
今日において最高の製品である。この製品を使ってバイク、ATV, SxS, UTVに乗ってみた。他の製品では使えない状況下で、この製品だけは音量、音質ともに合格した。使いやすさも楽しさへの相乗効果となり、他の機器との互換性も良かった。
最高の製品と言える理由
ー最も操作しやすい
ー最高の音質
ー最長の起動時間
ー4人での通信設定
ー900m+の驚異的な通信距離
ー運転中に充電可能
ー以下省略
原文:RadioRider.com